方向余弦(DCM)可視化ツール
背景・必要性
座標変換や剛体回転を扱う工学分野において、方向余弦行列(DCM:Direction Cosine Matrix)は極めて基本的な理論です。
しかしながら、DCMは数式による説明が中心となるため、初学者にとっては「具体的にどう回転するのか」を直感的に理解することが難しい領域でした。
この壁を乗り越えるためには、単に数式を覚えるのではなく、
「数式と三次元空間の動きを直感的に結びつける」体験が不可欠だと考えました。
取り組み内容
そこで、Excelベースで手軽に扱えるDCM可視化ツールを開発しました。
本ツールでは、
- 任意の回転角度を入力するだけで
- DCM行列と連動した座標軸の三次元回転をアニメーション表示
- 回転角に応じた行列成分の変化もリアルタイムで確認可能 という仕組みを構築。
これにより、
「数式がどのように空間回転を表現しているか」
を視覚的・体感的に理解できる環境を提供します。
また、Excel環境内で完結するため、特別なアプリケーションや環境構築が不要な点も特徴です。

得られた効果・メリット
- 抽象的な数式では伝わりにくい座標変換理論を、直感的に理解できる
- 初学者でもDCMの意味と挙動が自然に結びつく
- 教育現場や自学自習において、理解定着の大幅な加速が期待できる
- 特別な専用ソフト不要で、誰でも簡単に利用開始できる(Excelベース)
開発背景・想い
自らも学習時に感じた
「式だけではわかる気がしない」
という違和感を出発点に、頭だけでなく、体感で理解できる教育ツールを目指しました。
理解とは、単なる暗記ではなく、
「動きをイメージし、自ら納得できること」。
本ツールは、そのプロセスを支援するための一歩です。