図面ファイル収集ツール
PDMシステムに応じた最適設計で、図面収集業務を効率化
取り組み内容
【課題】
設計・製造現場では、図面データの収集作業に多大な手間がかかっていました。
特に、PDM(Product Data Management)システムによってファイルへのアクセス方式や管理方法が異なり、単純な汎用ツールでは対応しきれない問題がありました。
今回の取り組みでは、2種類のPDMシステム(D.Entry、DocuShare)に対して、それぞれ専用設計のファイル収集ツールを開発しました。
【解決策】
ケース①:D.Entry版ファイル収集ツール(AutoCAD DWG向け)
接続方式:エクスプローラー経由でサーバーフォルダにアクセス
収集ロジック:
- 図番情報に基づき、フォルダ階層の規則性を利用して検索
- 図番の先頭文字により、対象フォルダを特定
- フォルダ内でワイルドカード(例:図番*)によるファイル検索
技術的工夫:
- FSO(FileSystemObject)を使わず、Dir命令で高速検索
- ファイルの存在チェック → 対象フォルダへの自動コピー
想定対象ファイル:AutoCAD DWG図面ファイル

ケース②:DocuShare版ファイル収集ツール(スキャンデータPDF向け)
接続方式:HTTP通信によるブラウザ経由アクセス
収集フロー:
- ログインページにアクセス、パスワードをハッシュ化して認証
- 検索ページに遷移し、図番情報をもとに検索実行
- 検索結果をZIPファイルでダウンロード
- PowerShell連携によりZIP解凍、不要ファイル削除、必要ファイル整理
技術的工夫:
- VBAから直接HTTPリクエスト送信(ログイン・検索・ダウンロード)
- トークン取得・セッション管理を自動化
想定対象ファイル:スキャンされた図面データ、電子サイン付きPDF

得られた効果
- 手動によるファイル検索・収集作業を最大80~90%削減
- 図面の転記・取り違えミス防止
- AutoCAD図面・スキャンPDFいずれにも対応できる柔軟な運用を実現
- 本来注力すべき設計・製造作業にリソースを集中できる環境を構築
開発背景・想い
現場では、図面を探す・収集するという単純作業に、毎日大きな手間とストレスがかかっていました。
しかし、PDMシステムごとにアクセス方式も、管理ルールも異なり、単一の汎用ツールでは、現場のニーズに応えられないことが課題でした。
だからこそ、
「現場で本当に使える」
「それぞれのPDMの仕組みに合わせて最適設計する」
という考えのもと、専用ツールの開発に取り組みました。
単なるファイル収集ではなく、
作業者の負担を減らし、ミスを防ぎ、業務全体の質を高める──
そんな想いを込めた開発事例です。